シンプル、ノスタルジックな作品撮りポートレート

先日、数日間で美容学校の学生達のヘアメイク作品撮影がうちのスタジオであった。

1Fのギャラリーと会議室全体でヘアメイク、2Fのスタジオを2面にして写真撮影を行った。

授業の一環であり、私も以前にこの学校の講師をしていたこともあり、単に撮影のみならず、学生達には作品制作のワークフロー/留意点/プロセス/ノウハウを修得してもらいたい気持ちで臨んだ。

「イメージをカタチに」つまり、頭にある事を具現化していく為のワークフローとしては、最初にコンセプトワーク、表現したい事を明確にして、テーマやイメージを設定していく。次に事前準備段階で、ヘアメイク作品スケッチ、キャスティング(モデル選び)、スタイリング(服や小物選び)。そして当日のヘアメイク、撮影と移って行くのだが、ここでコンセプトワークと並び最も重要な事が回りの人へのコミュニケーション。つまり、自分が作品制作する際、自分の世界観、作品コンセプト/テーマをモデルやフォトグラファーに伝える事。同じイメージを関係者の脳や心臓に落とし込んで共有する事。このワークフローを学生達が社会に出る前に経験する事はとても貴重で、いい機会だと思う。

ここ数年、毎年行っているが、今年のテーマ設定は例年と違う事に気付いた。従来は「ハイファッション」「ロックな」「かっこいい女性」的な尖ったテーマ設定をする学生が多かった。しかし、今年は「ナチュラル」「シンプル」「クラシック」「ノスタルジック」「日常的」等のキーワードが多く見受けられた。

この現象は3.11の大震災の影響があるのだろうか。より地に足の付いたテーマ設定は時代、風潮を反映しているのだろうか。これは学生に関した事ではなく、スタジオに撮影にお越しになられる一般の方々、例えば子供写真、家族写真、婚活写真もその傾向を感じている。

下記の作品はほんの一部であり、それら以外に陰影のあるどっしりとした作風、ハイファッション、デコラティブ、尖ったもの、凝ったもの、主義主張の強いものもある。

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私が最も好きな作品のひとつで、ただ立っているだけの作品。言い換えれば、世のファッション雑誌のモデルは誇張したポーズ、そして一般はピースしたポーズが多い中、立っているだけで絵になる人、絵になる世界観は珍しい。私はなぜか魅かれる。なぜだろう。
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どの作品も皆、知り合いか友人にモデルを依頼しているという。プロモデルと違い、照れる人も多いが、作品の世界観に入り込むと、ポーズとって表情つくっていくらタイプのプロモデルよりもかなり空気感がいいと感じる事が多々あった。

ヘアメイクの技術者の学生達が自分の表現したい事を明確にして、我々フォトグラファーに伝えようとする姿や、モデルになった方々がヘアメイクの意を汲み自己表現する姿は素敵だった。

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