最近、挑戦したり、発見したり、工夫したりの撮影方法

一般的には、ものスゴく小さい事かもしれません。

が、作品撮りの際に依頼者からオーダーされると、クリエイター魂に火が付き、ライティングを始め、求める画づくりに近づけようと演出のアイデアが出る事があります。

最近、挑戦したり、発見したり、工夫したりした些細で微妙な撮影時の演出を纏めてみました。既に、「こんなもん、知ってるわい、やっとるわ!」とフォトグラファーの方々から言われる事を覚悟して紹介してみます。

1)タバコの煙を演出してみました。
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当社スタジオは禁煙なので、カッコよくタバコを吸っているシーンは撮影できません。通常は吸う格好のみですが、この時、依頼主はドライアイスを持参されました。ただ、煙は白く、ライティングをすると消えてしまいます。そこで背景に人物のシャドーを付けて、その暗部を背景としてドライアイスの煙を表現しました。ドライアイスは通常の煙とは反対に上に上がらず、空気よりも重く、上から下に沈んでいく為、上から落とし込み、いい形になった時に捉えるのがコツです。

2)夜間、自動車に照らされた様な演出をしてみました。
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私のスタジオは白ホリゾント(白壁)であり、バックペーパーは機動力が無いので、(通常は)使用していません。ライティングでバックドロップの風合いを作る事を心がけています。夜道を表現するには白背景を落とし、人物に当たった光を構図の外に出さなければ、壁が明るくなってしまいます。そして、逆光でストレート気味のハードライトを人物に当て、髪の毛や服に光のエッジを付けて、黒背景に同化しない様にしました。その場合に構図ギリギリの箇所に逆光のストロボを入れたり出したり微妙にフレーミングして画づくりしてみました。

3)夜中にテレビゲームをしている様な画づくりをライティングで演出してみました。
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「深夜、一人でテレビゲームを自宅で行っている様な写真を」という設定のオーダーがありました。通常のストロボだと背後の壁まで明るく照らされ、昼間の様になってしまいます。かと言って、スポットライトだとコントラストが強くなり、顔は白く、後ろは真っ黒気味に落ちてしまったり、そのスポットライトの行き先が丸く照らされ、求めるイメージとは程遠い画づくりになってしまいます。そこで、使用したのは Profoto製のライトシェービングツールである ProBox です。これは物撮りをする際に均等な光を被写体に当てたい場合に使用するアクセサリーです。テレビ面は中央に光源の芯が無いので、周辺光量が落ちる通常のアクセサリーでは理論上は雰囲気が出ません。ProBox付きのProfoto B1ストロボを地面に置き、撮影してみました。このストロボはLEDなので熱が無く、且つ、このアクセサリーは乳白色の面で眩しく無く、モデルへの負担もありません。かなり満足のライティング系の画づくりができました。

しかし、一方、この様なオーダーはレアなので、知っておく必要性をそう感じませんが。(汗)

4)「カーテンのレース柄を顔に入れたい」
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「午前中、部屋の窓際で太陽光をレースカーテン越しに浴びた様に顔に柄を入れて撮って欲しい」というオーダーでした。撮影したのは夕刻5時位でスタジオ横はビルがあり、殆ど太陽光は入らない環境でした。まず、全体的に明るくする為に背景の壁に光を当てました。柄付きのレースカーテンを別途用意してストロボの前に垂らしました。なかなか上手く行かないので、色んなアクセサリーで試してみました。ストロボとの距離によってコントラストが出るが無くなるか微妙に調整してみました。普通にするとただのディフューザーの役目になり、上手く行きませんでした。

5)ロウソクの光を演出してみました。
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前述のごとく、当社スタジオ内は火気厳禁です。それでもオーダー通り、火を使わずに何とかロウソクの光を演出する方法を考えてみました。ロウソクは明るい場所では見えないので、ロウソクの周りを暗くして、且つ、ロウソクの火に照らされた様に顔周りをオレンジ色に明るくしてみました。ライティングの際の順番は、1.レンズ選びと絞り決定 2.メインライト選択 3.サブライト選択 4.ライトと被写体と撮影者とのポジショニング 5.各ライティングのバランス設定を行います。私の場合はそれらの前に全体のターゲットイメージを頭に浮かべて、上記のワークフローをデザインしていきます。この場合、メインライトはフレネルスポットにバーンドアを付けて、座った被写体の足元が落ちる大きさのライト直径を決め、且つ、スタジオ環境光のタングステンライトの光量とミックスさせて色調を作ります。明るいレンズを使用して絞らず開きめにしなければ環境光と空中で色合いがミックスされません。次にサブライトで床に置いたロウソクのみを極小の直径のオレンジ色のライトを当てて、擬似的にロウソクの光の様に演出してみようと試みました。スモールスポットにオレンジ色のカラージェルを付け、水玉の特注のGOBOを1点を残して、パーマセルテープで他の穴を塞いで光が透過しない様にして、ロウソクめがけて光を当てました。これもProfoto B1というヒートレスのLEDを使用したストロボなので、カラージェルをアクセサリーより手前のストロボ面に直接取り付ける事が出来るので、このライティングが可能となりました。これで擬似ロウソクの画づくりができました。(深く、突っ込まない様に。)

6)メイクのテキスチャーに合わせた背景をつくってみました。
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上記の5事例と違った次元の演出です。撮影が終わりかけた頃に、ヘアメイクの方の衣装をふと見ると、メイクの色調やテキスチャーとよく似た雰囲気だったので、被写体の後ろに背中を向けて立ってもらい、バックドロップとして使用しました。

通常はオーダーを聞いて理解するとターゲットイメージを頭に作り、ワークフローの方向性をすぐに決めるのでアイデアは一瞬で、ライティング設定は1〜3分で作りこんでいき、テストシュートをして依頼者との意見調整や合意形成をしていきます。ただ、今回、上記の4)は苦戦しました。どうもターゲットイメージとの差を詰まって行かずに、ギブアップしかけました。

また、どなたか、フォトグラファーの方で使える技がありましたら情報交換してフレーム拡充していきましょう!!

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