重厚感のある大人ポートレート

私がポートレート撮影をする際に表現したい事、写真の中に入れたい被写体のABCがあります。

それは被写体の Attitude, Behavior, character です。それらのABCを伝えれるかが、自分がポートレート撮影をするに値するかだと思っています。

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( ▲ 2005年撮影、Simon氏 タンゴダンサー、プロフィール撮影)

私がベネズエラでの大学留学時代にはポートレートフォトグラファーのHumberto Trejo氏の基でポートレート撮影とモノクロ暗室技術を学びました。モノクロ暗室技術に関しては、フィルム現像からプリント表現までのハウツーでした。しかし、ポートレート撮影に関しては、全く技術を学んだ記憶がありません。私が彼と話をしている時に、スペイン語の単語を忘れて思い出す為に一瞬、天井を見上げて考えていた時、「人と話す時は相手の目を見ろ!」と言われました。それはフォトグラファーは常に被写体と向き合えという教えだったと私は解釈しています。

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( ▲ 2003年撮影、Hiromi Nakajima氏 女優、作品撮り)

そして、彼はある日、自分が撮影しプリントした多くの写真を手に取り、Charactor のある写真とそうで無い写真を机の上に分けました。これはキャラクターのある写真、そしてキャラクターの無い写真と。私にも質問してきました。「この写真にはキャラクターがあるか?」と。私はそれらの分けられた写真の傾向からその違いには気付いていたのですが、体系的且つ論理的に人に説明する事はできませんでした。彼は常に私に「ヒロユキ、キャラクターのある写真を撮れ」といつも私に言っていました。

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( ▲ 2003年撮影、記念写真での1枚)

それから15年くらい経過し、ベネズエラ出身の元モデルでスタイリストのマリアさんと2年間、写真撮影を中心に一緒に仕事をしました。彼女は日本で、フォトポージングやウォーキングの講師をしながら、私のポートレート撮影のスタイリングを担当してもらいました。彼女はいつも ” Character(スペイン語ではキャラクテル) “や “Attitude(同アクティトゥー)” という語を仕事中にも日常的にも発していました。私は15年前を思い出し、「また、キャラクターか」と。相当、西洋人が大事にしているコンセプトだと2度目だったので、気付きました。

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( ▲ 2003年撮影、Maria Jose Vilaseco氏 スタイリスト、モデル撮影中の露出合わせの為のテストシュート)

Humbortoの写真で分けられたキャラクターの入っている写真は作った表情やポーズはありませんでした。Maria のフォトポージングのレッスンも同様で誇張したモデルポーズなどではありませんでした。どれだけ写真撮影の際に、被写体が自分の想いや感情を自発的に表現できるかが重要だという事です。それがベネズエラ留学時代から30年経った今でも、私の撮影スタイルの根底にあり、ファンダメンタルとなっています。

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( ▲ 2014年撮影、作品撮り)

自分のポートレート撮影に対する考え方を伝える為に、自分の好きな作風の写真をこのブログで集めてみました。

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( ▲ 2016年撮影、Akane Ono氏、モデル、MA Spanky 所属、ワークショップ時での作品撮り)

昨今、子供写真館等の台頭で、子供の想いとは別に技術的にあの手、この手で笑顔を作らせ、視線を集めさせてシャッターを切るというスタイルの記念写真がポートレート写真(人物写真)という風潮になりました。そこには子供や家族のキャラクターは入っているとは感じません。よく、老舗の写真館のオーナー様達から、写真館でしか撮影できない写真、子供写真館との差別化について模索されている話を伺ったり、相談を受けたりします。

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( ▲ 2012年撮影、Ezequiel Hudyma 氏 タンゴダンサー Efecto Tango 所属、プロフィール撮影)

私は、フォトグラファーに必要な能力はズバリ、被写体の個性(Attitude, Beheivior, character)を写真表現できるかだと思います。適性露出、構図等はフォトグラファーなら誰でもできる事です。「何を伝えるか」「被写体のどんな個性をどの様に写真表現するのか」を設定するのかが最重要です。背景紙の色や絵柄が変るだけで構図やライトが一定で笑顔が素敵という子供○○館スタイルの撮影や型モノと言われるスタジオ側の事情(背景紙の種類や所持する家具)に万人の被写体を合わせるの昔ながらのスタイルでいいのでしょうか。そこにフォトグラファーの存在価値があるのでしょうか。

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( ▲ 2015年撮影、作品撮り)

「個性を写真表現する」など当たり前の使い古された表現ですが、具体的に技術レベルに落とし込み、論理的、体系的に、被写体のABCをカタチにしていくには技術が必要です。これ以上、記載するととてもディープな技術的な内容になるので割愛します。今日は私が今、取組んでいる事を書いてみました。

最後にマネージャーの宇佐見が撮ってくれた私のポートレート写真です。
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( ▲ 2009年撮影、アトリエにての作業風景の自画像)

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(フォトグラファーへの告知)
2017年4月22日(土)15:00 – 17:30 に 私が主宰するポートレートスクールの少数制の撮影ワークショップが開催されます。今回のテーマは “重厚感のある大人ポートレート” です。

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被写体に向き合い、被写体の個性をライティングを中心に写真表現する術について迫っています。ワンウェイのセミナー形式では無く、自分でターゲットイメージを設定し、具体的に画づくりをしていき、撮影してフィードバックしていくゼミ形式なので、楽しく学んで行けるかと思います。ワークショップ後も自分の技術として応用が効く様に論理的、体系的に説明します。

アンブレラのみの撮影に飽きた方、カワイイだけの女の子の写真を撮っている自分に疑問を感じ始めている方にオススメ。

ご興味のある方は是非、ご参加下さい。申込は下記まで。(対象:プロアマ問わず)
http://www.portrait-school.com/workshop.html

(参考)
ポートレートスクールのweb site :http://www.portrait-school.com
ポートレートスクールのFBページ:https://www.facebook.com/Portrait-School-345293742212924/?ref=bookmarks

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