美容学校のヘアメイク作品撮影

6月中旬の数日間、当社スタジオにおいて、美容専門学校の作品撮りを行いました。

「想いをカタチに」という基本コンセプトの基、学生達は自由にテーマ設定ができ、自分が表現したい事、伝えたい事をヘアメイクの作品主となり、モデルやカメラマンに指示、注文して、写真というアウトプットにしていく機会です。

ヘアメイクの作品撮りというのは、ヘアカタログでは無いので、同一のライティングで同一の背景、雰囲気でヘッドのみを撮影するものではなく、モデルの衣装、小物、表情やポーズ、ライティング、写真の風合いまで入れて作品になります。もし、ヘッドのみのカタログスタイルの撮影だと、モデルではなく、マネキンの物撮りになってしまいます。学生達は自分でコンセプトを考え、モデルとのバランスを考え、自分の世界観をカメラマンに伝えます。

当社スタジオのギャラリーがヘアメイクを行う特設サロンに変身しました。ここで学生達は自分達が事前にイメージしてきた世界観をモデルに対してヘアメイクを行って具現化していきます。

私はヘアメイクの専門家ではないので、撮影者という立場で作品撮りのワークフローを分析してみます。
1)依頼者/作品主である学生(ヘアメイクアーティスト)の伝えたい事/表現したい事(*以下「ターゲットイメージ」)の理解。
2)レンズ選びと絞り設定
3)モデル(被写体)の位置決め
4)ライトシェービングツール(ストロボに付くアクセサリー)選びとモデルとのポジショニング設定
5)各々のストロボの出力レベルのバランス設定とカメラ側の露出設定
6)作品主のターゲットイメージと実写データとの擦り合わせ
もし、6)が異なれば、この1)〜6)のプロセスの繰り返しになります。

これによって、各々の感性の結集したヘアメイク作品が、同じ背景、ライティング、風合い、構図という同じ様な写真にならず、テーマが千差万別なら、写真もそれぞれに対応する事ができます。

毎年、少しづつテーマの傾向が変わっていく様に感じています。好景気な時期はモード系で尖ったテーマが多く、不況になると優しいテーマや現実味のあるテーマ、今年は個性が多様化しており、他人の影響を受けにくいテーマが多くなっていると実感しました。

もし、皆のテーマが異なっても、撮影者が同じ機材設定で撮影するなら別ですが、皆、各々のテーマがあり、ターゲットイメージが異なり、オーダーが異なります。すると写真の質を高めていくには撮影者にかなりの効率性が求められます。効率性を高め、それによって捻出される創造性を発揮できる時間を確保する工夫に取り組んできました。具体的にはデジタルワークフローに変更してからの12年間はコードレス化に取り組んできました。段階的に進めてきましたが、ストロボの部分のみが電源コードや制御部とヘッド部の間のコードは残ったままでした。しかし、バッテリー駆動のストロボであるProfoto社製のB1というストロボを導入し、スタジオ内は完全コードレス化になりました。これにより、コードの写り込み、電源の差し替えが無く、スムーズに撮影が進みます。また、このストロボは従来の常識を覆す機能があります。なんと、連写に発光が追従します。という事は踊ったり、ジャンプしたりするシーンを撮影する場合に、何度も何度もやり直しをせずに、一回でOKカットが撮影できます。(一番上の作品を確認ください。連写で砂が落ちるシーンを捉えています。しかも閃光時間が短いので、砂の一粒までが止まっています。)ツール選びや環境設定もフォトグラファーの重要な仕事だと思います。クリエイティブな時間を創出でき、撮影に集中する事が出来ました。

作風に拘った方、無理めなオーダーをする方がいらっしゃるお陰で、私もライティング技術を鍛える事ができました。また、若い世代の感性に触れる事ができました。学生達の「想いをカタチにする」お手伝いが少しでもできたかなと感じています。皆様、お疲れ様でした。

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