先日、美容専門学校の学生達の作品撮りを行いました。

（今回は美容作品のワークフローを文章とは直接関係ありませんが、当社での作品撮りのBTSショットを交えて記載してみます。）

学校側はテーマ設定に関しては制限を設けずに、各々の世界観を尊重して、各々がコンセプトワークから参画しています。自分の想いを伝える場、学んだ技術を発揮する場、自己表現の場としての位置付けなので、感性と技術が試される機会となります。

（▲ 上記写真は当社スタジオ１Fのギャラリースペースでヘアメイクを行なっている様子）

ステップとしては、１）『コンセプトワーク』として、自分が伝えたい世界観のテーマ設定があります。学校で習う技術のカリキュラムは同じであっても、それを活用する為の発想は人それぞれ異なります。このステップが一番、悩むところであり、バリューの高いステップだと思います。この段階で頭の中に目標となる出来上がりの写真（＝ターゲットイメージ）を作ってしまうと後工程で軸がぶれずにコンセプトを貫いた作品となります。

次のステップから具体的になってきます。２）『準備段階』としては、Design (ヘアメイクデザインの画コンテ作り)、Casting (モデル選び)、Styling(衣装や小物集め)等があります。

撮影当日に現場にやってくるステップを３）『現場ワーク』と呼ぶと、まず、モデルへのヘアメイク作業を行います。そして、衣装を含めてスタイリングを作り上げていきます。私はスタジオに入る前の支度段階で、モデルに対して自分の想いや表現したい事をどれだけ伝え、想いを共有しておくかが、作品撮りのキーだと思っています。

そして、スタジオでは、担当フォトグラファーにテーマやタイトルを伝え、自分が作品撮りを通して伝えたい事や表現したい事、更に具体的に全体の風合い、そして、Location (撮影場所や背景、家具等）を決め、更にライティングや構図のリクエスト等まで伝えていきます。

テストシャッターを行い、イメージ通りかどうかを作品主である学生（アートディレクター兼ヘアメイク施術者）とフォトグラファーの間で確認し、微調整をしながらイメージに近づけていきます。

ライティングが決まり、現場ワークの最後は、Expression & Posing (モデルへのポージングや表情、視線のリクエスト）です。この場合、手足の動きや位置を具体的過ぎるとぎこちなくなるので、私は作品の世界観を伝えます。時間軸や空間軸が発生するテーマの場合は５w１Hを設定して、モデルが自発的に動ける様にします。この作業をフォトグラファーを仕切ってしまうと、フォトグラファーの感性のフレーム内の発想での写真しか撮れません。また、参考画像等を切り抜きやスマホ等でモデルに見せてしまうと、モデルはそこから離れる事が出来ずに手足や顔の向きまで模倣傾向になり、ちぐはぐ感が出てしまう傾向にあります。

作品主である学生の作品撮りワークフローはそこまでで、そこからはフォトグラファーのみが行う最後のステップです。４）『画像処理』のステップです。現場で作品主と調整しながらライティングを作り込んでいるので、更に作品の完成度を上げるには、RAW現像のパラメータの調整があります。私はレタッチはやらないか、やっても最小限に留めますが、RAW現像は作風のイメージに大きく影響を与えるので、かなり追い込んで行います。

毎回、撮影していて感じるのは、作品テーマやリクエストされる写真の風合いやライティングにも傾向がある事です。今年は何故、カラーリングポートレートが多いのだろうという事です。

この件について、学校の先生とも話す機会があり、興味深いコメントがありました。

「最近美容界に出回っている写真もアプリ等で容易に色を変えていると見受けられる写真が多くあり、それを見慣れている世代の場合は、その写真を撮影したいとフォトグラファーにリクエストするのでは無いでしょうか。」という内容でした。確かに最近の若者はSNS等に影響で写真に触れる機会が多く、ライティングやカラーリングへの拘りが強くなっている様にも感じます。私はライティングや写真の風合いによってそこから伝わるイメージやメッセージが変わるという事に気付く事は良い事だと思います。

そして、アプリ等で加工された写真を一発撮りで撮影依頼が来る事に対応する為、私も工夫したり、考えたり、悩んだりと、撮影技術が向上している様な気がしており、難しい拘ったリクエストはウエルカムです。症例数を増やして、手際良さも向上して行きたいと思っています。

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(Information)
１）フォトスタジオ SODA PLAZA ではポートレート撮影を行なっています。法人向けのプロジェクト撮影、プロフィール撮影、記念写真、ペット写真、美容業界向け作品撮影等。詳細はスタジオサイト内の各々の専門サイトにて。

２）ポートレート撮影のワークショップを開催しています。次回は10月21日（土）、テーマは”レトロ＆アンティーク　〜時代感を表現する〜” 。詳細はサイトにて。