10月21日にポートレート撮影ワークショップを開催しました。今回のテーマは ” Retro & Antique ” – 時代感を表現する –
で、レポートをしてみます。
最初に自己紹介を兼ねて、参加者からポートレート撮影上の課題と学びたい事を語って頂きました。そして、座学セミナーに時間を裂く事無しに、スタジオ現場にてテーマに添ったポートレート写真を撮るというゴールを達成すべく実践的な時間を確保する事にしました。
撮影のワークフローの中で、一番最初で一番重要なステップは作品コンセプトで「伝えたい事」を押さえる事です。今回のサブテーマである「時代感を表現する」という事で、皆で “レトロ”と “アンティーク” の共通点と相違点について意見を出し合いました。
そして、全員のターゲットイメージを共有し、具体的な画づくりに入って行きました。今回もテーマのイメージにあったモデルを事前にオーディションをして、決定しました。(下記はモデルオーディション時のイメージ画像です。)
メイクもモデルが事前に自分なりに参考になるイメージ画像を集めており、現場で素早く準備を行っていました。
最初は、”レトロ” です。
事前にモデルには今回の撮影実習テーマは伝えてあります。撮影者間(参加者)のターゲットイメージが共有できた後は、モデルともイメージを共有しました。ポーズ、視線、表情に関しては、私は手足の位置や動かし方を指示するのは好みません。自発的な動きでないと、不自然になりがちだからです。また、撮影者の感性のフレームの域を超えて行かないからです。ストーリーをモデルに伝え、自発的に表現してもらいます。モデルとも “レトロ”と “アンティーク” でポーズや表情をどう違えるのかをヒアリングしたところ、私のイメージとドンピシャな回答が返ってきました。
次のステップは、レンズ&メインライト選び、モデルとライトと撮影者の位置決めへと進んで行きます。これを私は「見立て」と呼び、この見立てが異なったり誤ったりすると、それ以降の工程や写真のイメージは違った方向へ進んで行きます。このワークショップは参加者が主役なので、皆で意見を出し合い、メインライトを決めて行きました(=ストロボアクセサリーの選択)。
ワークショップは撮影会では無いので、撮影は一人ずつ順番に行います。
自分の順番以外の時間は撮影したデータを確認し、検証していきます。そして、ストロボのアクセサリー、ポジショニング、各ストロボや環境光とのバランス等の違いによって撮影データがどう違って来るのかを検証、考察し、フィードバックして行きます。
私も撮影してみました。
そして、私の撮影したデータをサンプルに、RAW現像によって更にイメージに近づける方法を説明していきました。どのパラメータをどの方向に設定していくかで、作風が見違える位、変って行きます。これは修正等のレタッチではなく、風合いを決めるクリエイティブでポジティブな作業なので、RAW現像は楽しいステップです。私もターゲットイメージに近づけ、しっくりといくパラメータ設定を行い追い込んで行きました。
些細ま事ですが、モデルの毛先のリボンを左右異なった色にしたのは私の拘りです。ドレスやベレー帽とのコーディネイトと遊びの部分です。
続いて “アンティーク”の撮影です。
また、皆のイメージを共有する事から始めました。このステップは作品撮りを行うワークフローの「軸」です。また、撮影現場では普段、何気にフォトグラファーは椅子を置いていますが、どの向きにどの位置に置くのかは、幾つかのポイントがあります。例えば、被写体の顔やスタイリング、求める背景の風合い、使用レンズ、ライトの位置等・・・があるという説明をしているシーンです。
そして、毎回、反復の様にワークフローを体に染み込ませます。メインライトのアクセサリーをセレクトします。
このテーマでは、スポット系の足して行くライティングに方針(=「見立て」)を決めました。参加者で話し合って選んだアクセサリーをメインライトとして選びました。スポット系のライトは位置決めがとても微妙であり、モデリングランプが分かり易い様に、スタジオの環境光を消して行います。
今回も一人ずつ撮影していきました。
まずはメインライトをスポット1灯で撮影。
次は、モデルの背後から頭部に向けてスヌート付きのスポットライトを。
そして、背後のスポットライトを今度は壁に向けて。
次は、メインライトをスポット範囲を自由にセレクトできるバーンドア付きのフレネルに変えました。そして、スポットライトにGOBOという金属板を取付け、更にアンティーク感の演出として、少しカビ臭くホコリっぽい雰囲気にする為に微妙にムラを入れてみました。
同様に、撮影データをよりターゲットイメージに近づける為のRAW現像のパラメータ設定の説明を行い、ワークショップは終了しました。
最後は参加者の皆で、恒例の「お疲れ様写真」を撮影しました。
終了後、うふふの秘密の茶話会を行いました。自由参加ですが、参加者全員が参加されたので、今回のサマリーとして、「ポートレート写真を構成する要素」とその前提の土台となる事項の体系図と、「時代感を表現する」事について押さえておくポイントを伝え、皆で意見交換しました。
このワークショップはフォトグラファー対象(プロアマ不問)なので、撮影技術は当たり前ですが、そこだけにフォーカスするのでは無く、その技術を如何に活かして行くのか、感性から技術へのアクセス、そして、それ以前の作品コンセプトを如何に設定して行くのかの部分を大事にしています。
ちょうど、当日、誕生日だった方がいらっしゃり、受講生仲間からの差し入れもあり、皆でハッピーバースデーを祝いました。そして、抱負を語って頂くべく、無茶振りしました。彼女の強い意志を感じ、その為のエッセンスを今後のワークショップ内に鏤めて行きたく思いました。
参加者同士の交流、化学反応や課題の共有もこのポートレート撮影ワークショプの楽しみです。
model : Dorothy (Schonberg Models)
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