フィジーカーのポートレート撮影

8月下旬にフィジーク選手(ボディビルの1つのカテゴリーで、筋量よりもバランスやデザインを競う競技)である鶴田貴子さんをスタジオで撮影しました。

鶴田貴子さんとはジムで出会いました。私はいつも比較的遅めのクローズ前の時間帯にトレーニングをする事が多く、社交を楽しむ余裕も無く、時計を見ながら、眉間に皺を寄せて、ただただノルマのメニューを黙々とこなしている様な感じです。既にジムのトレーニー人数のピークは終えていて、いつも顔ぶれが同じ人ばかりの時間帯です。ある日の帰り際、「いつも熱心にトレーニングをされていますね。大会とかに出場されているのですか。」と話しかけ、それをきっかけに挨拶をする様になりました。

ビルダーやフィジーカーは大会に向けてトレーニングでのバルクアップのみならず、ダイエットやタンニングをして、体のキレを作って行きます。特に大会前の栄養管理、食事管理によっての減量がキツイ時期です。それだけに努力の成果としてベストな状態を写真に残しておきたいものです。鶴田さんの大会スケジュールや仕上がりタイミングと合わせて撮影をする運びとなりました。

まず、撮影前に打ち合わせを行いました。イメージを共有させ、「軸」を作りました。

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そして、スタジオに入り具体的な撮影準備に入って行きます。と同時に最高のコンディションで撮影する為に、鶴田さんには腕立て伏せや腹筋によって筋肉をパンプアップして頂きました。

自分の中では、プロフィール撮影をする際に一番難しいのはライティングでも露出設定でも、ピントを合わす為の測距点の移動でも、表情を捉える為のシャッタータイミング等の撮影技術ではありません。ターゲットイメージ(目標とする最終形の写真)を頭の中に作る事です。具体的な画作りをする為の技術は基本や原理原則の組み合わせです。

撮影前にはいつも「伝えたい事」、そしてキーワードを頭の中で設定します。写真によって伝えたい事は、「努力によって作り上げたボディーの美しさとカッコ良さ」。キーワードは「エネルギー」「肉体美」「明るさ」「キレ」「自信」等。

すると具体的な画作りは自ずと導かれて行きます。まず、主役、主体のボディーが最高のコンテンツである為、背景は余計な模様や色は一切排除し、シンプルに。ライティングは筋肉のキレ(ディフィニション)の表現。シャドー(背後への影)は無く、シェイド(体の陰影)を。全方位のライトでは凹凸が表現されにくく、コントラストは入れすぎると光に近い側のみ明るくなり、遠い側が黒つぶれになります。そこで、光を拡散させず指向性を付ける為にストロボにはグリッドを付け、且つ、一部のみを白飛びさせずに筋肉のメリハリを表現する為に、ディフューザーを装着して光を柔らかくしました。そして、メインライトの逆からも弱めの光を打ち、陰を戻しました。髪の毛は黒いので、落とした背景と同化させずに髪に艶を持たせる為に、トップライトを髪に目掛けて打ちました。そのままトップライトを使用すると、背景を含めて全体が明るくフラットになるので、トップライトのストロボにも指向性を持たせました。

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上の写真は、ボディーのデザインに対して、光のバランスを作り込んでいる様子です。私は老眼なので機材設定は苦ですが、「はなせば分かる」という感じです。(笑)

長々と撮影技術面について記載しましたが、要するに、筋肉の美しさとカッコ良さを表現する為に、シンプルで且つシックな色合いの背景、バランスの取れた陰影を作り、最後は明るい自信に満ちた表情のタイミングでシャッターを押すという理論通りの事を実践しました。

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圧倒的に美しい肉体というコンテンツ力が極めて高い場合は、背景に余分な模様や色、小物等の演出は不要で、シンプルに勝るものは無いでしょう。ボディーやポージングのみならず、表情や人柄という鶴田さんの素材力に助けられたポートレート撮影でした。

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最後に、「お疲れ様写真」を撮りました。なぜか、二人ともビルダーがスナップ写真を撮る際の定番ポーズになっています。(笑)

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鶴田さま、「お疲れ様でした。楽しいフォトセッションでした。そして、大会も入賞されたそうで、おめでとうございます。また、ジムで会いましょう。」

鶴田さんのブログ(「そうだ、カッコいい身体になろう」ボディメイクのための筋トレと栄養):https://ameblo.jp/takakootop777/entry-12401737846.html

SODA PLAZAのプロフィール撮影サイト:http://www.profile-portrait.studio

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