以前に撮影したお客様との繋がり

記念写真や家族写真は、広告写真の様なその時代に即した消耗品的な側面はなく、一生積み上げていく人生コンテンツだと考えています。そんな、人生のコンテンツをキャプチャーする瞬間を担当させて頂ける事を幸せに感じています。

日常的に写真撮影が普及する中、写真館へお越しになられるお客様には何らかの想いがあると思います。私は撮影時にはカテゴリーとしての目的は伺いますが、細かなプライベートな事を伺う機会はありません。何度も子供さんの節目毎にスタジオにお越しになられるお客様はいらっしゃいます。撮影後に引っ越して、地方に行き、また、東京に戻られ再会するお客様もいらっしゃいます。撮影毎に子供さんの成長を時系列的に感じる事もあります。成人式の振袖撮影や卒業袴の撮影をしたお客様が数年後にご結婚されお子様のお宮参り撮影にお越しになられる場合もあります。ただ、お客様とは撮影でスタジオにやって来られた時以外にお話しする事は殆どありません。たまに、お受験写真撮影や就職履歴書撮影をした後に、合格した旨をメールで頂く事はあります。

今回、素晴らしい出来事がありましたので、ご紹介いたします。

SODA PLAZAのスタジオ前に写真をいれるパネルスペースがあります。通常は定期的に写真を入れ替えており、作品撮りの写真展示が主です。そんな中、少し前から私が歴代で最も気に入っている家族写真を飾っています。この写真は18年前の2003年に撮影したものです。スタジオもここ小石川に移転する前の早稲田にあった頃のものです。カメラもデジタルが普及し始めた時代の写真です。形式ばった写真では所謂  “写真館写真” では無く、自然体で親子の絆や想いが伝わってくるところが、何年経っても新鮮なところが気に入っています。

そして、随分以前であり、且つ海外移住の前の親子記念撮影とだけ伺っていたので、連絡先もなく、コンタクトのすべがありませんでした。私も写真を見る度に、今頃、どうされているのかな、お嬢様も成長されたのだろうと思っていました。また、いつか、見つけてもらえないかなとずっと思って飾っていました。

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すると、今月のある日、娘さんのお友達のお母様がスタジオ前を通った時にこの写真を偶然に目にされ、そのスタジオ前の写真を送ってくれたそうです。そして、被写体のご本人からメールを頂きました。彼女とお嬢様は撮影後にニュージランドに移住されたそうです。そして、現況についてお写真まで添付して下さいました。偶然にも写真と同じ様な服装なのにもご縁を感じます。

 

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最近のお二人の写真も添付頂きました。そして、その後、何度かメールのやりとりをして、写真に込められた色んな出来事、エピソードや想いを伺う事ができました。そして、是非、ブログを書かせて頂きたい旨、お伝えしたところ、ご快諾いただきましたので、今、こうしてブログを書かせていただいております。

何と、嬉しい事に、写真を額装して家に飾って頂いているとの事です。日本では写真はアルバムにして、タンスに閉まっているだけとか、デジタル時代ではスマホに入っているだけという事が通常ですが、額装写真にして、壁に飾られているのはやはり欧米の文化だなと感じます。

 

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写真と共に人生のコンテンツが蓄積されていき、そして、装飾して日常的に目にしていくことにより色んな想いが蘇り、そして頭の中で歴史が繋がって整理されていくのだろうなと勝手に想像してしまいます。写真自体はその一瞬で点ですが、それが繋がって線となり、整理されていくのでしょう。

この壁の写真の3番目の右の手を繋いだ写真も、一緒に撮影したものです。

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これはお母様とお嬢様が手を繋いだシーンをアップで撮ったものです。この写真についてもその想いをメールにて伺いました。「その写真を見る度、手を取り合って二人三脚で歩いていこうという当時の強い想いが伝わってまいります。」と原文を掲載させて頂きました。そして、「しっかり繋がれた私と娘の手のクローズアップされた写真は、ベッドに寝た状態でも見れる位置にいつも変わらず飾ってあります。」(原文)と。

そして、別のメールにて、また別のエピソードも紹介頂きました。お嬢様は震災後(日本の東北地震同様にニュージーランドも同じ年に大震災がありました)に進路選択が変更を余儀なくされ、勉学の為、帰国されました。現在は社会人として働かれています。続けて、「昨年、コロナの影響で仕事上のストレスが溜まり、娘が高齢の私の母や私からのメールに返事をせず心を閉ざし気味の時期がございました。コロナ禍で心身共に疲れ余裕のない娘に対して、私は伝えたいことを文章でメールする代わりに、曽田さんが撮ってくださった私と娘の繋がれた手の写真を送りました。何が起ころうと、そしてたとえ離れていても母と娘の絆は繋がれたままだということを感じてもらいたかったのです。もちろん、その後すぐに娘から私宛にメールが入りました!」(原文)と。例え、ブログへのエピソード紹介の掲載許可を頂いているとしても私は咀嚼して纏めて書くべきですが、想いがワンジェネレーション劣化すると思い、原文にて紹介させて頂きました。

改めて写真の力について考えさせられました。

普段はスタジオ撮影をして、納品後に写真がどの様なカタチになっているのかは私は知る由もありません。データやプリント、アルバム等はどの様に貢献しているのか、そのまま見ずに閉じられているか。それをこんなに素敵なエピソードを伺う事ができたのは初めてです。

私もこのブログを書くにあたり、何年も前のハードディスクドライブの中に入った写真を探し出しました。もう1枚、私が気に入っている写真を紹介します。

 

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本当に素敵なコンテンツだと思います。

この様な便りを頂く事は、マーケティングに基づいて情報を画像に入れていく作業のコマーシャルフォトの仕事をした時には無い感動です。

 

これを機に私が過去に撮影させて頂いた方の写真にまつわるエピソードや想いを募りたいと思います。是非、ブログにて紹介させて頂ければ幸いです。ご連絡は info@sodaplaza.com まで。

 

追伸:「H様、今回は素敵な再会でした。一瞬で時間が埋まりました。素敵なエピソード、写真を送って頂き、ありがとうございました。今、飾らせて頂いている写真は気に入っているので、少しこのまま継続して飾らせて頂きたいと思います。一時帰国された時、是非、お立ち寄りください。娘様にもどうかよろしくお伝えください。」曽田

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SODA PLAZA の記念写真撮影:https://www.sodaplaza.com

 

 

 

 

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