イメージをカタチにするということ

9月初旬から10月初旬にかけて、当社スタジオに2面、2名のフォトグラファーで約1000名程のポートレートの作品撮影を行った。

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                 (撮影:宇佐見紀子)

人数は多くても高品質水準を確保する為に、RAWにて撮影し、最適な色調を確保すべくJPG現像をして、1名ずつ分けてCDに焼く作業を行った。

効率的なワークフローを組み、且つ高品質な画像を確保すべく、作業処理していくことは、クリエイティブな発想をするための時間とエネルギーを確保でき、大変重要なこと。しかし、それは最低限必要な『手段』にすぎない。

フォトグラファーとしてもっとも大事なことは「イメージをカタチにする」ということ。これは最低限必要な『素養』。フォトグラファーにかかわらず、クリエイターやアーティストであれば語る以前のファクターだろう。

しかし、これが一番単純であり、一番難しい永遠のテーマかもしれない。今回は撮影者自体の作品ではないので、テーマ、コンセプト、イメージ等を依頼者から聞き、それをモデルも含めて共有する。

 

私は雑誌や写真を持ち込んでのイメージを共有する方法は好まない。手っ取り早そうに思えるが、関係者全員イメージがそこから離れることができずに、盗作や模写傾向になってしまい、その背景にあることに目を向けようとしなくなる。ひどいとポーズや角度まで一緒にしようとする人もいる。安易な手段であり、「イメージをカタチにする」という『能力』は向上しない気がする。

 

やはり、形容詞やキーワードから具体的にカタチにしていくことがいい訓練になる。まずは形容詞やキーワードの背景になるものは何かを理解し、共有する。具体的にはヘアメイク、衣装、バックの風景、小道具、ライティング、露出、モデルのポーズや表情、構図等を撮影時にコントロールする。そして現像時に設定をコントロールして風合いを作っていく。

 

短期間に多くの人数の撮影をこなすと、「感性」というファジーな語ではなく、体系的に分かってきた気がする。野球選手が素振りをし、ボクサーがシャドーボクシングを繰り返す様に、いつまでも反復練習を繰り返していきたい。

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