ポートレートワークショップのレビュー

先日のPhotoNext 2016の後に当社スタジオで2日間行われた Profoto Portrait Workshop のレビューを書いてみます。

主催はスウェーデン製のストロボの世界的リーディングカンパニーである Profoto 。Profoto のキャッチフレーズが “The light shaping company” であり、求めるイメージ作りの為に、ライトをカタチ作る事についての内容でした。

Profoto製のB1というストロボは当社でも2年前に導入し、コードレス、ヒートレス、連写対応、どんなシャッタースピードでも使用できるという制限から開放され、且つアクセサリーが豊富で、従来の様に黒板、レフ板、デュフューザーを使用せずに効率よく撮影する事が実現しました。その分、時間とエネルギーを創造性発揮する事に費やす事が可能となりました。当社のスタジオでの写真も2年前から急にバリエーションが拡充しました。

今回のテーマは “求めるイメージを具現化するポートレートライティング” 。平たく言うと、「頭にイメージした撮りたい写真を撮る為のライティング」であり、体系的に説明し、モデル撮影を通して実践的に受講生がカメラを持ってワークショップ形式で行いました。具体的には、Profoto社が Air Remoto(コードレスでストロボをシンクロさせる為のトランスミッター)を受講者に貸し出して頂き、自ら撮影を行って頂きました。

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まずは、受講者の各々の撮影内容と学びたい事の情報交換をギャラリースペースで行いました。

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そして、スタジオでパワーポイントや動画等で作例紹介を基にライティングについて、体系的に説明しました。

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基本的な9つのライティングについては、受講者に考えてもらいライトを作り込み、撮影をしてフィードバックの作業を行いました。

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基本ライティング習得後、いよいよ「イメージをカタチにするライティング」の内容に入って行きました。Profoto B1は連写対応可能なストロボであり、シャッターはいつでも待たずに押せます。この特長を活かし、皆が同時にモデルに対してシャッターを切る事ができ、効率良くワークショップを進めて行く事ができました。

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まず、白ホリを背景に柔らかい風合いで撮影してみました。

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そして、ベッドに座ってもらいました。ここからは、同じ場所でも時間によって画作りが異なる事を説明しながら撮影をしました。最初は朝早くの設定です。

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そして、さらに昼を想定したライティングで。

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そして、夕刻の設定で。

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深夜2時頃の時間帯に帰宅した設定で。同じ場所でもライティングによって求める時間帯の設定を変える事ができます。その為には、使用レンズ、使用ストロボアクセサリー、ポジショニング(位置関係)、露出設定、モデルの表情やポーズ等を調整する必要があります。

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次に、クールやハードという形容詞に対応するライトを作りました。

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同じ白背景でもライティングによって色や雰囲気をコントロールする事ができます。

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更に、被写体の影を背景につけてハードなイメージを演出しました。

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髪の毛にライティングによって赤メッシュを入れて、ハードさを更に演出しました。

その後も色んなイメージを具現化していきました。(説明/写真は省略)

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そして、懇親会を行い、受講者やスタッフとの交流を行いました。各々の業務上の課題や情報交換/意見交換が出来た事も素晴らしかったです。

さて、2日目はまず、初日のレビューから始めました。
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初日は私が主にライトを動かす事が多かったのですが、この2日目のレビューでは受講者自らが私の設定するシーンに合わせてライティングを作って行きました。シチュエーションの設定を言葉で伝える中にヒントがあり、露出設定、レンズ/アクセサリー選び、ポジショニング、モデルへの状況説明等を行って行きます。

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この日はスタジオ脇のスペースで屋外ポートレートにも挑戦しました。

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まずは、撮影時間相当の設定で、目に見えるまま演出をせずに撮影してみました。

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そして、夜中の灯の設定に対応するライティングを行いました。そもそもストロボが外でも使用できるのが、Profoto B1の特長です。バッテリー駆動します。そして、昼間でもf1.2のレンズを開放で使用できる環境をこのストロボでは作れます。HSS(ハイスピードシンクロ)に対応しており、1/8000秒でもストロボがシンクロしてくれるので、求めるイメージを如何様にも作れます。

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さて、2日目のメインイベントです。作品撮りのワークフローの体得を目的に、コンセプトワーク〜準備〜撮影〜RAW現像という各ステップの詳細項目を設定し、画づくりをして行くプロセスを実際に行って行きました。

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皆、妥協せずに、受講者やスタッフが意見を出し合い、協力して光を作って行きました。

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そして、撮影後はよりイメージに近づけて行く画づくりをする為に RAW現像のパラメータ設定の考え方と手法を説明しました。

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最初に設定した テーマである “ハリウッドポートレート” をカタチにしていきました。当然、世界観やコンセプトはモデルやヘアメイクの方々には伝えてあります。

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そして、更に、光によるカラーリングに挑戦しました。これは初日に説明したヒストグラムが読めなければ出来ない技です。

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まずは柔らかいアンニュイな雰囲気のライティングを行いました。

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そして、ビビッドな雰囲気にシフトしました。その際にはモデルの方の表情も一気通貫でコントロールされています。

少人数制で実施でき、随時、質疑応答ができた事、そしてゼミ形式で受講者自らが考えて意見を出し合える環境でワークショップを進める事ができました。

フォトグラファーは、頭に浮かんだ求めるイメージという抽象事項(アナログイメージング)を写真表現(デジタルイメージング)に変換するモデム(Modulate – Demodulate)の様な発想とスキルが必要であるという私の持論を感覚的に理解して、光をコントロールするプロセスを体得して行かれたのを嬉しく感じます。

受講者の皆様、関係者の皆様ありがとうございました。

model : Akane Ono
Hair & Make Up : Maiko Kurishima

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