美容学校学生のヘアメイク作品撮り

つい先日も同じタイトルでブログを記載しました。8月上旬に美容学校の作品撮りを行いました。今回の学校は当社で初めて担当します。
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作品主である学生さん達は1年生が中心でした。1年生はまだ学校生活3ヶ月余りで、美容の技術習得の授業は始まったばかりの段階での作品制作になります。
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それでも事前に作品撮りのステップは説明し、準備を終えて臨んでいただきました。
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作品撮りで大事な事は現場ワーク以前のコンセプトワークです。「作品コンセプト」=「作品を通して伝えたい事」と私は捉えています。
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その「伝えたい事」を作品の各要素の中に具体的にカタチにして入れ込んでいくステップを通して、思い描く写真(=ターゲットとするイメージ)を具現化していく事を体得していくのが、作品撮りの狙いです。

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自分の伝えたい事が決まると、そのイメージにあったモデル選び、そして、ヘアメイクデザイン、スタイリング(衣装、小物等)までを事前に準備して、本番に臨みます。
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ヘアメイクスペースではモデルの方に作品コンセプトを伝え、気分も本番モードに入っていきます。
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そしてスタジオに入ると、担当フォトグラファーに作品コンセプトを伝えます。作品を通して伝えたい事、作品の世界観、イメージ、場所や時間の設定、そして、さらに具体的にライティングの風合いや構図までを。
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私は作品撮りには必ず「タイトル」を付けます。ネーミングにも感性が表れます。コンセプトの軸をずらさない為でもあります。私は普通に記念写真やイベントスナップを撮影する際でも自分の中でシャッター毎にタイトルをつける習慣を付けています。

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私が驚いたのは、ヘアメイクや衣装、小物に至るまで、その意味づけがしっかりと考えられ実行に移されていた事です。例えば、下の作品タイトルは「嫉妬」であり、目の下にトゲトゲのビーズを付けているのは、嫉妬の心を表しています。

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また、下の作品タイトルは「夢を追う少女」です。何パタンかのストーリー仕立てで、風船を各々の夢にたとえて、最初の明るい設定ではどの夢を掴もうか迷っているところで、最後が下の写真です。夢を掴んで次のステップを考えているところです。
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フトグラファーは求める写真の風合いを具体的に作っていきます。よくカメラマンはイメージする気持ちになって撮影する事が大事だと言いますが、ナンセンスです。フワッとした写真を撮影するにはフワッとした気持ちになったところで、何も考えずに、普通にソフトボックスはアンブレラで被写体に向けてシャッターを切るだけでは、フワッとせずに、カッチリとした写真になる事が大半です。

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フォトグラファーは求められるイメージに対して具体的に技術に落とし込まなければ、画は作れません。まずはレンズ選び、ストロボアクセサリー選び、背面の壁・ストロボ・被写体のポジショニング(位置関係設定)、構図決め、メインライトの露出設定、そしてサブライトの露出設定を明るく楽しくスムーズに何気にクールに行います。(笑)

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最初にテスト撮りを行い、ヒストグラムを見て適正露出か、イメージ通りかの確認を依頼者と一緒に行います。

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そして、風合いが決まれば、あとはモデルの方にストーリーの世界観に入ってもらい、より自然でコンセプトに合致した表情やポーズに近づく様に空気を作っていき、シャッターを切っていきます。

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作品イメージに近づけていく為には、白い壁を背景にしてもライティングによって、暗くしたり、模様を入れたりもします。

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そして、色を入れる事もします。背景は白い壁ですが、タングステンの色やカラージェルをアクセサリーの根元にに入れて、風合いを作りながら色も同時に作っていきます。下の写真は「秋の夕暮れ」というタイトルでその雰囲気をヘアメイク、衣装、ライティング、そして表情やポージングでシンプルながら作り込んでいます。

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作品主であるヘアメイク担当の学生がアートディレクションを行い、全体の品質管理作業を各ステップで行っていき、コミュニケーションをとって、キャストであるモデル、スタッフであるフォトグラファーとの協業作業によって、作品制作を行います。

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冒頭にも記載しましたが、ヘアメイクの技術よりもさらに大事な事は、自分が作品撮りを通して伝えたい事を明確にする事で、これはヘアメイクの経験期間に関係ありません。カメラマンが作品主である作品撮りの場合も一緒で、ベテラン、新人には発想は撮影技術とは全く別物であり、オギャーと生まれてからの問題意識と感性に強く関連します。そこが作品撮りの尊いところです。

この作品撮りの狙いである自己表現する楽しみを経験、体得して頂けた事が、私にとって最大の喜びです。

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