「レトロ&アンティーク」のシンプルなポートレート

テストシューティングのレポートをします。

私の好きな作風、世界観を貫いてみました。今回は「レトロ & アンティーク」をテーマとしたポートレート作品に仕上げました。根底には「シンプル」が常にあります。

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設定は、20世紀前半のヨーロッパの日常、女性が想いを持って生活している事が伝わるどっしりした風合いのポートレートをターゲットにして画作りをしてみました。

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これらの写真は昼にスタジオ脇の庭スペースで撮影しました。壁のテキスチャーを活用して世界観を表現してみました。

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最初からこのスペースで撮影する事を前提に、スタイリング(衣装とヘアメイク)を組み立てて行きました。渋めのゴールドとオリーブ色の彩度の低い色合いにして撮影場所の壁や植物に溶け込ませました。また、髪にもドライ系のかすみ草をアクセントに付け、全体のトーンを統一しました。髪のかすみ草は背景を落とした際のエッジを演出する役割も持たせました。

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技術的なチャレンジとしては、85mm f1.2のレンズを開放にして、人物を主張せずに自然に浮き出る様な表現を試みました。その為には外スペースであってもストロボを使用し、HSS(ハイスピードシンクロ)モードで自分が演出したい様に光をコントロールしました。これにより、外光があっても1/8000秒でf1.2の柔らかいボケ味を表現する事ができました。

こんなスペースでの撮影はバッテリー駆動のストロボが力を発揮します。そして、光を足していくスポット系4灯のストロボで、各々のストロボに役割を持たせて光を組み立てて行きました。各々のストロボの種類と役割は次の写真の中に記載しておきました。

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やはり、撮影していると色んな課題が出てきます。スポット系のライトの場合、指向性があり、どこに光を当てるのかをコントロールする必要があります。アンブレラ系の様に広がったライトではそこまで重要ではない部分です。しかも、スタジオ内では周りを暗くして微調整できますが、昼の外の撮影では、光が一体、どこに当たっているのかが分かりません。特に、フレネルスポットは光の範囲をレバー調整できるのですが、レバーをどちらに移動するとどの程度の大きさになるのかを知っている必要があります。また、スモールスポットにGOBO(遮光板)を付けて光に斑模様を付けましたが、こちらも光の輪郭のコントラストを太陽光の下ではコントロールできません。しかも、脚立で高所作業になります。そこで、1灯ずつ、単独で光を付けて、シャッターを切り、パソコンで画像を見ながら確認し、最後に全てのライトのバランスを整えて行きました。

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背後の壁に人物の影を付けたり、オリーブの木の影を付け、さらにスモールスポットで木洩れ陽の柄の遮光板で写真全体に斑を付け、全体的に重たくクラシックな時代感、カビ感を表現しました。

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そうこうしているうちに環境光である日光が時間や雲の影響で変化して行きます。そして、同じライトのポジショニングや光量であっても違った風合いを作ってくれます。そこが太陽光+ストロボ光撮影の醍醐味です。

最後はとてもクラシックな雰囲気に撮影できました。

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ファッション写真、ヘアメイクのビューティー系写真とは異なり、誇張したポーズや表情、そして誇張したヘアメイク等の現実的にありえない設定は一切無くしました。そして余計な小物や演出を一切排除して、微妙すぎるテキスチャーを付けてシンプルな画作りでのポートレート撮影を行いました。

“I love simple photography.”

model : Eszter (Schonberg modes)
Direction of styling & photography : Hiroyuki Soda

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(Information)
ポートレート撮影のワークショップを開催しています。次回は10月21日(土)、テーマは “レトロ&アンティーク 〜時代感を表現する〜” 。詳細はサイトにて。

ワークショップバナー

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